残しておかないはじめの一歩
さぁ結婚に向けて動き出しましょうとなった時、わたしも彼もそれぞれ家族から初めて結婚する人同士だったため、何からどうすればいいのかわからなかった。
とりあえず家から一番近いコンビニで、有名どころの結婚情報誌を買った。(こういう固有名詞?商品名?ってブログって普通に出していいの?わからぬ)
なにこれすーごいねタウンページみたい、とか言いながらぺらぺらめくる。
あれって大半が式場の情報なのね!まずはそこから驚きなわけだ。
結婚までに決めておきたいこと、挨拶の時におさえておきたいマナー、とかそういうのを狙って買ったんだけど、むしろそれらは(ページ数的には)おまけ程度の扱いで。
あら、こんなもんなの?とちょっと肩透かし感。
おまけ程度ではあったものの、目当てのご挨拶の際のことや両家顔合わせについてのページを二人でくっついて読み込む。
わたしの両親への挨拶は実家ではなくお外のレストランでだけど、そこは了承を得ているので問題なし。
レストラン自体もそれっぽいところだし、用途を伝えてあるから問題なし。
手土産も福岡のものを買って帰ってきてもらってるから問題なし。などなど。
わたしの両親に会ってもらうのは初めてではなかったし、何より両親がとてつもなく我々を応援してくれていて、なんでも都合のいいように好きにやったらいいというスタンスでいてくれたので、何も心配はしていなかった。
婚約者はとても真面目で、「お父様お母様の情報をもう一回整理したい」と言ってくれるほど今回の食事会を真剣にとらえてくれて、彼の不安を少しでも解消できるようたくさん話をした。
せっかくなので付録でついてきた将来の希望ノートみたいなの二人で書いてみると、そう考えてたの!へー!という新しい発見が。
「母が自分にしてくれたみたいに子供は自分が育てたい!」わたしと、「支障のない範囲で働いてほしい」彼。
転勤の可能性が高いからマイホーム願望はなしとか、子供の運動会で自分が綱引きできるうちに第一子は欲しいとか、バレーは続けたいとか。
(こういうことになる前に認識合わせしているのが言うたらベストだとは思うけども)お互いちゃんと話したことのないことを、しっかりと話さなければならないところに来ているのだと実感する。
例え違う意見を持っていても、何も不安に思わなかった。
これから新しいものを作っていける。元彼に教えてもらったけどできなかったことを、今なら出来ると思っている自分がいた。
食事会当日。
ネクタイを結ぶのがへたくそな彼にわたしが結んであげる。
向かい合って「曲がってるよ♡」と直してあげる、とかそういうかわいい感じじゃない。自分の首に巻いて結び目作って、はいこれ首にして!と渡して、まっすぐ立って!と指示してグイグイ形を直す。
わたし高校の時ネクタイが制服だったから、ネクタイとっても得意。おほほ。
数分遅れそうだった。お店の場所が、自分たちが思っていたのとは違う棟にあったのだ。
これ遅れるねぇと走るけど、彼が「電話して電話して、お願い電話して」というので電話する。
ごめんー、もう着くけど思ってた棟じゃないほうにいたよー。
電話を切って1分後くらいに到着。
そんなに急がなくても!また汗だくになるわよ、と父も母も笑っていたけど、彼はたぶんやっちゃったなぁと思っていたと思う。ごめんね。
彼が福岡土産を渡して、さっそく食事に。
母は早めに目的のお話済ませたほうが(彼が)気が楽なんじゃないかと思ったのか、時々こちらが切り出しやすいようにそれっぽい話題を振ってくれて。わざわざスーツで来ていただいて、とか。(笑)
それに乗るかな?乗るかな?とわたしは様子を見ていたけど、事前に「いつ切り出すかはその場に応じて、でもある程度食事が済んでからのほうがいいんじゃないかなぁ」という話をしていたからか、彼は何となく濁すような受け流すような感じ。(後々彼も「俺もあれ迷った」と言っていた。だよね。)
ある程度食事が済んでから、彼が切り出す。
今回お時間をいただいたのは、私たちの結婚を認めてほしくて、みたいな感じだったかなぁ。ざっくり。
「私が認める、許すということではなく、娘のことも、娘の選んだ人のことも、我々はとても信頼しています。これからのことも心配していません」
ふぉおおおおお。もう我慢できなかったー、また泣いたーーー。
普段からあんまりぺらぺら喋る父ではないので、わたしは父が放つ言葉にどうしても過剰に反応してしまうところがある。
母は、彼が結婚したいと思っています宣言をした時は泣いていたが、今回は泣いていなかった。
前年一年が彼にもわたしにも大変な一年だったということをわかっていて、それがこの場にまでやっと繋がってきた苦労を読み取ってくれているような感じだった。
ちなみに、後から聞いたら彼もうるうるしてたらしい。結構あの人泣き虫なんです。かわいい。
結婚式の話題ももちろん出た。
結婚式も、やるのかやらないのか、規模なり場所なり、どうなっても合わせられるので都合のいいようにしてください。応援しています。という、本当に有難いことこの上ないわたしの両親のスタンス。
この時はまだ結婚式についてはわたし達も全然話をしていなくて、結婚情報誌を初めて見て、まだそれぞれの好みや志向を探っている段階だった。
そのことと、でもこれから3月の両家顔合わせに向けては徐々に準備なり情報集めなりしていくよ、と素直に伝えるだけにとどめた。
レストランの食事は、めちゃめちゃ美味しいというわけではなかったけれど、終わるころにはお腹いっぱい。
でも、緊張しっぱなしで味がわからないという感じで終わらずによかった。
それは父も母もいつも言ってることだった、「ちゃんと美味しいと思って食べましょう」。
会は、実に和やかに終わった。
父も母も、いい意味で気を遣っていないいつもの父母だった。
せっかくなので少しレストランの近くの商業施設を見ていたけど、ちょっとやっぱり疲れはしたね、帰るか、と。
嬉しい気持ちいっぱいで帰り道。
ウインドウショッピングは疲れる感じだったけど、なんとなくまっすぐお家に向かう気にならず、ご近所でかるーく飲むことにした。
座って、乾杯して、やっと一息。
絶対泣かないと思ってたのに泣いたー、俺我慢したけど結構やばかったー、そうなの?気付かなかったよ、とか言ってるうちに母からメールが。
「エスカレーターでのぼってきた時、ぱあっとその場が明るくなるようだったよ。お似合いだよ。」
それでまた泣くっていうね。
お母さん、わたしはお母さんのようなお母さんになりたいんだよ。
それを目指して今日からまたがんばっていくよ。