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ざっくばらん手記「ばんびじゃーなる」

眩しい向こうにあるものが見たい

悩みを生み出すのが特技なわたしは、また今度は別のことで悶々としていた。

彼のご両親の反応も悪くなく、年末を待たずして先ほどの流れはほぼ了承されたも同然の状況であった。(年末に決裁のハンコだけもらってくるね、というような感じ)

何を言いたいのかというと、プロポーズらしいプロポーズをされてないけど先々の予定(とほぼ結婚)が決まっている状態だった。

確かに、確かにお付き合い早々に「結婚をしたいと思っています」と言ってはもらった。そして合意をして物事を進めてきた。

けどもよ、急にここで女の子出すけど、プロポーズってもうないんでしょうか…?というなんとも贅沢な悩み。

今後のことどう考えていますかという問い、実際の今後の流れなど、わたしは割と何でも思ったら発信してきた。

でもプロポーズ催促って。さすがにしにくかった。そしてちょっと、そこくらいは頑張ってほしいなぁという思いがあった。

かといって、本当にこのまま年始の食事会に行くのか…。それってちょっと、うん、いやかなり微妙。ワガママすまん。

 

彼が福岡へ帰ってそう経たないうちに、今後のスケジュールの決裁が下りた。おおおー!

まずは、楽しみ。しっかり話をしてくれたことにありがとう。よかった。やっとここまで来られたね。うれしいなぁ。やっとだなぁ。

そして、悩みに戻る。

年始の食事会は成人の日。年が明けたらすぐ来てしまう。うーん。ずるいけど文字で気持ちを送っちゃおう。

進んでいることに一ミリも異論はないよ、だいすきよ。でも、プロポーズ、してほしかったなぁ、なんて。こじゃれたことはいらなくて、宙ぶらりんな気持ちが満たされる言葉がほしい。というようなこと。

不躾だよね、ごめんね、催促にしか見えないだろうけどそうじゃなくて、あくまで今不安に思って言うことを話しているんですっていう言い訳もつらつら添えて。(にしたってよく言ったよ、こんなこと)

 

彼は彼で迷っていたらしい。いつプロポーズをしようと考えているうちにあれよあれよといろんな予定が舞い込んできて、どうしたらいいんだろうと。

慎重なご両親と、すぱんすぱんと物事を決めたがるわたし。間に挟み込んで息苦しい思いをさせてしまったと思った。反省。

ここまで来(てしまっ)たけど、かならずするよ。あの最初の言葉だけじゃないよ、まだ終わってないよ。

と言ってくれた。

自分の不安と不満を受け取ってもらえて、それだけでだいぶすっきり。これも女あるあるかしら。

 

わたしはとにかく自分の家族が何よりの自慢で、大好きだ。

誰かの誕生日には必ず帰ってきてお祝いしたし、携帯の暗証番号は機種が変わろうと家族の誕生日を順繰りに使い続けている。

嫁ぐというのは、その家族から出るということ。そして自分で自分たちの新しい家族を作るということ。

急にそのことを認識した。

もし本当に来年の夏に入籍するとしたら父の姓を名乗る年末年始もこれで最後なのかと思ったら、実家を出てとうに何年も経つのに、改めて寂しさを感じた。

順番にお風呂に入って、つけっぱなしの紅白を飲みながら見て。流行りに疎い母は毎年紅白でその年の流行を知り、父はそれを小馬鹿にしながらビールを飲みまくり、もうやめなさいと母が怒る。

そんな大晦日もこれで最後になるのかもしれない。

元旦にそれぞれが考えてきた新年の抱負を話す場にわたしがいることも今年で最後になるのかな。(我が家は、去年の抱負の振り返りと新年の抱負の披露を、お屠蘇をいただいた後にするのが通例なのだ)

福岡にいるかもしれないのか。新しい年末年始の過ごし方が始まるかもしれないのか。

寂しさと、わくわくと、未知に対する空いたスペースが入り混じった不思議な気持ち。

これが大人になるということなのかーとか思いながら、いつもと変わらない年末年始を満喫できてしあわせだった。

 

1月4日。

彼が福岡から東京へ戻ってくる日は、品川まで迎えに行くことにしていた。

予定していた電車を目の前で逃してしまい、新幹線のホームまで下りるほど余裕はなく、品川の改札前で待つ。

数日ぶりに会う。ちょっとぎこちなかったような気がする。

うふふー、おかえりー、とか言ってぎゅーっとして。とりあえず荷物を置こうとお昼ご飯のおつかいもせずまっすぐ家に帰った。

 

とてもお天気がよくて、家の中にはたくさん日の光が差し込んでいた。なんだかやたらと眩しく感じた。

荷物を置くや否や名前を呼ばれる。わたし確か洗面所で手洗ってたんだけどね。

あーーーーー。

もうわかるわけさ、空気で。

寄っていっても顔が見られない。

涙が出るわけ、それはもう止めどなく。鼻水出たとか言ってティッシュ取りに逃げても逃げ場がないわけ、ワンルームだし。

一字一句までは割愛するが、結婚してくださいと言われたから、わたしで本当にいいんですかと3回くらい聞き返して、何度聞いても「うん」と言うので、わたしもうんいいよ。と言った。

嬉しいとか幸せとかそういうのでは言い表せない気持ちだった。

それまで悶々としていた気持ち、大晦日の寂しい気持ち、改札前で数日ぶりに会えた時の気持ち。

全部が不均等に入り混じって、マーブルじゃなくてむしろ“無”。色っていうか、ぴかーっていう光り。

 

母に改めてメールを打った。

「今度の食事会、彼がスーツで伺うと言っているのでお父さんにもそう言っておいてね」